第11話 苦渋の選択
小学5年の春
これまでは何も変わらない日々を送っていた
いつもお父さんは普通に定時くらいで終わって帰って来ていて
お母さんは昔から会計士だったので、当時の僕はなんとなくしか知らなかったがいつも仕事が忙しいというのは知っていた
お母さんは寝ている間に帰ってくるというのが多かった
それでも家事は普通にやっててお母さんってすごいなって思っていた
ある日、お母さんは毎晩夜中に帰ってくるようになっていた時、朝が起きれなくてお父さんに無理矢理起こされる
「いつまで寝てんだ‼起きろ‼」
隣で寝ていた僕も起きた
弟はまだ寝ていた
お母さんは僕と二人になると
「ねぇ友ちゃん?お母さんさ、離婚しようと思ってるんだけど…
花山合宿終わってからでもいいかな?」
花山合宿は小学5年の秋にある旅行のイベントである
え?
離婚?
僕は言葉を濁す
「うーん…」
そこで会話は終わる
後から聞いた話、お母さんは夜中に帰ってくるとご飯の用意はされていなかったそうだ
そうして数日後、喧嘩から急に離婚の話になる
日曜の夕飯後の時間だったので家族全員がいて
お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんの四人で会議が始まった
僕と弟は隣の部屋で泣きながらサザエさんを見ていた
会議が終わった結果(確か)2週間後の日曜日に僕と弟はどちらに行くか決めるということになった
この期間中は弟とは一切離婚について話はしなかった
弟は昔から一番好きな人は?と聞かれるとお兄ちゃんと答えていたから僕に着いてくるだろうと思った
だから僕の答える方が答えになっていた
そして、運命の日
お父さんに呼ばれ四人がいるなか言われる
「友治、こっちに残るのとお母さんのとこに行くのとどっちにする?」
お母さんはこっちに来ると思っているせいか何も言わない
僕は小学5年で苦渋の選択を迫られた